なくした鍵は不思議な場所で見つかった
先日、鍵を紛失しました。それも家の鍵です。ズボンのポケットに入れておいたのですが、電車でポケットに入れてあった携帯電話を取り出すときに、電車の座席に滑り落ちたと思われました。独り暮らしのため鍵がないと部屋に入ることができません。その電車は日曜日の昼下がりであったこともあってやけに空いていました。隣には、自宅に帰ると思われる母親と三人の子どもが乗っていました。その子ども達の会話がなんだか面白く、耳を傾けていたため鍵を落としたことに気がつかなかったと思われます。鍵を落とした事に気がついた駅の改札で事情を話すと、ホームの中にある、落し物を扱う事務所に行くよう指示されました。こういう場合は気が急いて仕方がありません。あせって事務所に入ると二人の職員がそれぞれ一人づつ何かを紛失した女性の対応を行なっているところでした。後ろで順番を待っている間も気が気ではなかったのですが、二人の女性の話を聞いていると、鍵の紛失より深刻そうで思わず同情を禁じえませんでした。一人の女性は、旅行中でどうやら、電車の中で財布を紛失したらしいのです。恐らく何物かに掏られたのでしょう。紛失届けを出すことと、警察に行くことを勧められていました。彼女が旅を始めたばかりか、旅を終え帰るところかは知りません。しかしながら、旅の印象が悪くなったことには違いありません。もう一人の女性は昨晩の最終列車にカバンを置き忘れ、運良くそのカバンを受け取っているところでした。その彼女がカバンの中を調べていると、財布と部屋のスペアの鍵が見当たらないらしいのです。お金はまだしも部屋の鍵がなくなっていることが彼女を混乱させていました。警察に届けると同時に鍵の交換を進めた駅の職員の助言は的を射ていました。彼女達が去った後、鍵を電車内に落とした事を告げ、必用書類に記入を済ませ、連絡を待ったのです。連絡が来たのはそれから7時間後でした。なぜか全く方向の違う駅の改札に鍵が届けられていたのです。この国の人も捨てたものではありません。
2013
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